ガラスの種類と特性を理解しよう

硝子と呼ばれる物にはいくつもの種類が存在して、色んな場所で役目に適した特徴・性能を持ち合わせたガラスが採用されているのです。
そこで今回は、いろいろなガラスの種類とその特徴を紹介していきます。
フロートガラス

「透明ガラス」「単板ガラス」と呼ばれることもある、最も一般的なタイプの窓ガラスです。
透明な1枚ガラスで、安価かつ加工しやすいのが特徴です。
寸法や厚みにはいくつも種類があり、様々な用途に使用されます。
住宅では、窓ガラスや棚の扉によく採用されています。
厚くなると強度も高くなるため、水槽などにも使用可能です。
強化ガラス

フロートガラスを約700度に熱し、急速に冷却するという製法で作られるのが強化ガラスです。
厚さが同じフロートガラスと比較した場合、強度は約3倍となります。
見た目は透明でフロートガラスと似ていますが、割れ方には大きな違いがあります。
強化硝子は砕ける際に粒状になり砕け散る事からフロート硝子が割れた時とは違い鋭い破片になることがなく、ケガをし難い訳です。
安全性が高いため、学校や店舗などの公共性の高い場所で多く採用されています。
型板ガラス

ガラスの片面に凹凸がある不透明なガラスです。
ロールアウト法という製法で、片面にだけ模様をつけています。
この模様によって、ガラスの反対側がぼやけて見えます。
光の透過率はフロートガラスとそれほど変わりませんが、視線を遮る効果が期待できるのが特徴です。
人通りのある道に面した窓ガラスや、浴室やトイレなど、プライバシーを重視したい場所にぴったりです。
低反射ガラス

ガラスの両方に特別な上塗りを施し、表層の照り返しを調整する種類の硝子です。
ガラス表面へ映り込むことが少ない特徴があり、ガラスの反対側がクリアになります。
ガラスがあることを感じさせないので、ショーケースやショーウィンドウなど、展示ケースにお奨めです。
無反射のガラス

表面に細かい凹凸がついており、磨りガラスと似たような見え方をする硝子です。
しかし、絵などにガラスを密着させたときに反射しないので映り込みがなく、対象物がクリアに見えます。
タッチパネルや額縁のガラスなど、ガラスが何かに密着している状態でのみ力を発揮するガラスと言えます。
高透過ガラス

高透過というその名の通り、フロートガラスに比べて透過率が非常に高いタイプのガラスです。
フロートガラスもほぼ無色ですが、わずかに青みが入っていることも特徴です。
ガラスの厚みが増すと、それだけ青みも増します。
一方、高透過ガラスは透明度が非常に高く、ガラスの厚みが増した場合でも透明性を保てる点が大きな特徴です。
そのため、ディスプレイウィンドウや展示ケースに使うことで、内容物の美しさが際立ちます。
ガラスにプリント加工を施す場合は、透明度が高いことで色をクリアに再現することが可能となり、デザイン性が高まることが特徴です。
強化ガラスに加工することも可能で、その場合は透明度の高い強化ガラスになります。
より強度の高い展示ケースとして使うことが可能でしょう。
光触媒ガラス

片面に、透明な光触媒膜の上塗りを施した硝子です。
太陽の光を浴びると、「分解力」や「親水性」が高まります。
紫外線が汚れを分解し、雨がその分解された汚れを洗い流してくれるので、セルフクリーニングの効果も期待できます。
頻繁に清掃ができない高層ビルの外装等に最適です。
網入りガラス

ガラスの中に網目状のワイヤーを封入した構造のガラスです。
火災が発生した時に硝子の飛散を抑止する事を目的に造られています。
高温が原因となって硝子が割れた時でも、中に有るワイヤー部分がガラスの破片を支えてくれる事が特徴となります。
そのため、ガラス面に穴が開いたり全体が崩れたりせず、延焼防止効果があります。
ガソリンスタンドや飲食店など火を扱う店舗では、消防法で網入りガラスを防火設備用に設置するよう定められています。
一見防犯にも効果がありそうに思われますが、ガラスの強度自体はフロートガラスとそれほど変わりません。
また、中のワイヤーも、ガラスカッターで切ることができる程度の強度なので、防犯効果はそれほど期待できないでしょう。
合わせガラス

2枚の硝子の間に特別なフィルムを挟みこんで接着して製作したガラスとなります。
フィルムが備わった事で貫通阻止、飛散軽減効果がある為にクルマの正面ガラスにも採用されています。
防犯効果、遮音効果、UV削減等々、厚手のフィルムや特別フィルムを間に入れる方法で沢山の性能をプラスする事も出来ます。
複層ガラス

2枚のガラスの間に金属を入れ、空気層を設けた高性能なガラスです。
主に住宅の窓に用いられるガラスです。
硝子板を2枚セットすると言う事から、「ペアガラス」と言われる事も有ります。
中間にエアを含むことから断熱性が驚くほど高く、結露回避の効果も望めます。
複層ガラスの面白いところは、この2枚のガラスの組み合わせで、さらに様々な性能を持たせることができる点です。
たとえば、合わせガラスを組み合わせれば、防犯性能の非常に高い複層ガラスになります。
同様に、網入り硝子を組み合わすと、延焼防止効果が見込める複層ガラス。
ステンドグラスやカラー硝子をアレンジする方法で、装飾性の高い複層ガラスに成るのです。
また、ガラスの組み合わせだけではなく、内部に「レゾネーター」という装置を付けることにより、遮音性の非常に高い複層ガラスとなります。
Low-Eの複層ガラス

複層硝子に、Low-Eの硝子を使った商品になります。
Low-ガラスとは、板硝子に特殊な金属膜で上塗りを行なった物で、「Low-E」とは、「低放射」を略した表現となります。
つまり、熱の伝わり方を抑える硝子なのです。
夏の太陽の熱を遮断して部屋を涼しくしてくれる遮熱タイプと、冬のあたたかい熱を部屋から逃さない断熱タイプがあります。
複層ガラスも断熱効果が高いガラスではありますが、Low-E複層ガラスは更に断熱効果が高く、暑さ寒さの厳しい季節も快適に過ごすことができます。
ガラスと使い分けたい、透明な素材
有機ガラスともいわれるアクリル板やポリカーボネイト板は、透明である程度の強度があり、ガラスに似た用途で使用されていることが多い素材です。
しかし、それぞれに特徴があり、長所と短所を持っています。
- ガラス
- ガラスは、太陽光や風雨の影響を受けても劣化することがほとんどなく、非常に耐久性の高い素材です。 しかし、衝撃に対して割れやすく危険なので、安全性が必要とされる場所にはあまり適していないといえます。
- アクリル板
-
アクリルは透明度が高く、加工性や耐久性も非常に高いため、ガラスに似た用途としては窓や扉にも使われています。
ただし、高温になると変形する性質があるため、温度変化の激しい場所には適していません。 - ポリカーボネイト板
ポリカーボネイトは非常に割れにくいため、安全性が求められる学校のような公共性の高い場所での利用に適しています。
しかし、傷が付きやすいので装飾を目的とした利用には向かないといえます。
一見似たような透明の板でありながら、加工性、耐久性、重さなど、よくよく比べるとどの素材も個性的です。 それぞれが持つ特徴を生かして、適した場所で使用しましょう。
まとめ
一部しかご紹介できませんでしたが、ガラスにも様々なタイプのものがあることを感じていただけたでしょうか。
現在も、新しい性能を持ったガラスの研究が日々行われています。


















