真空ガラス 「スペーシア」
シドニーユニバーシティと日本板硝子のコラボレートのお陰で実用化された真空ガラスが「スペーシア」です。
真空ガラスのアイディアというのは1913年には公開され、アメリカでは1921年に特許が成立していたものの当時の技術では量産化が不可能でした。
しかし、1989年にシドニー大学の教授と日本板ガラスの協力のもと、量産化に成功しました。
ガラスを重ね隙間をあけて真空層を確立させるやり方で、多くのメリットの獲得に成功しました。
結露対策こそ真空ガラスの真骨頂
真空ガラスには数多くのメリットがありますが、結露対策こそ最大のメリットです。
冬場ともなれば結露で悩まされている方も珍しくないことでしょう。
結露の原因は外の気温と室内の気温差によるものです。
冬場は寒くなればなるほど、暖房をつけて室温を高めます。また、暖房をつけていないとしても人間がいる以上、体温から熱が放出されるので暖かい格好をしていればその分人間が暖まり、人間から放出される熱で室内の温度もある程度は高まります。
暖房をつけていないにもかかわらず、結露で悩まされるのはそのためですが、いずれにせよ「室内と外の気温差」によってもたされるものです。
ではなぜ真空ガラスでは結露の解決が可能になるのか。
結露をもう少し詳しくお話すると、温度差がある空気が触れ合うことによって生じるものです。
結露が激しいガラスはガラスそのものが薄いので、外気と室内の空気が触れ合ってしまうことにより、結露が生じてしまうのです。
真空ガラスの場合、ガラスとガラスの間に真空があるので、外気と室内の空気の「接触」を防止。結果、結露の発生を軽減できるのです。
気温の低い日でもスペーシアが活躍します
冬のガラスの悩みは結露だけではありません。
暖房を付けているもののなかなか部屋が暖まらない点や、窓際だけやたらと室温が低いことで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この点も真空ガラスが改善してくれます。
真空ガラスは断熱性能が高いので、室内の空気が外の冷たい空気と触れ合うことをガードする一方、光や熱は取り込めますので、昼間であれば暖かい熱や光のみを部屋の中に通します。そして、取り込んだ熱・光によって暖まった空気を室外に逃しません。
また、暖房から生まれる暖気も部屋の外に逃しませんので室温を効率よく高めてくれると共に、窓際であっても通常のガラスよりも暖かさを感じることでしょう。
これらは高い断熱性があるからこそです。
通常のガラスの場合、室内で暖房を付けても暖気が外の空気と薄いガラス越しに触れあってしまうので窓際だけがなかなか暖まりませんが、真空ガラスではこの問題も解決できます。
防災時にも真空ガラスは頼りになります
真空ガラスは防災時にも役立ちます。
地震、暴風雨といった自然災害時、家だからといっても安心できません。
強い揺れにより家の中の物が散乱したり、揺れそのものによってガラスが割れてしまうケースは決して珍しくありません。
割れるだけでも面倒ですが、割れたガラスが飛散することで怪我や二次的なトラブルが発生してしまう点も厄介なものです。
避難しようと思ったものの、割れたガラスが飛散して歩くことすらままならないといったケースも考えられます。
このように、強度が低いガラスの場合自然災害時にはガラスがリスクに早変わりしてしまいますが、真空ガラスの場合、割れにくく、さらには飛散も防ぐので二次的な被害を食い止めるので「割れたガラスに刺さった」「割れたガラスのおかげで身動きがとれなかった」といったことも防いでくれます。
遮音・防音性能も高いのが真空ガラス
真空ガラスは遮音・防音という点にも優れています。 JISのT-2等級をクリアしていますので、およそ30db程カットできます。 遮音に関しては外の音で困っているケースもあれば、外への配慮として悩んでいるケースもあるのではないでしょうか。 便利であればあるほど、夜遅くでも生活音があります。電車や車など、どうしても音が発生するので悩んでいる方もいれば、子供の夜泣きや騒ぐ声で周囲に迷惑をかけているのではと危惧している方もいることでしょう。 どちらの問題も真空ガラスであれば解決に近付けます。 真空ガラスは外から入ってくる音のガードだけではなく、内側からの音が外に漏れることも防ぎますので、騒音全般の悩みも解決に導いてくれます。
家計にも優しい真空ガラス
真空ガラスは太陽からの日射熱のおよそ50%をカットできます。 通常のガラスと比べてもおよそ4倍ほどの性能ですが、そのおかげで外部からの温度の影響を軽減できます。 夏場であれば外からの熱による室温の上昇を軽減しますのでエアコンの効率を高めます。 夏場、エアコンをかけているのになかなか室温が下がらない場合、太陽の熱が室内に入り込んでいる可能性が高いです。 エアコンが部屋の温度を下げようとしても太陽の熱が部屋に入って温度を上げようとするのです。これではなかなか室温も下がりませんので、エアコンもフル稼働が続きます。 しかし真空ガラスを導入すれば入り込む熱をおよそ50%もカットできますので冷房効果も高まります。 近年のエアコンは室温が設定温度に到達すると運転が落ち着くので光熱費の軽減に繋がります。 しかし、いつまでも外から熱が入り込んでいてはなかなか設定温度に到達せず、フル稼働を続けるので冷房費用も高くなってしまいます。 そこで真空ガラスです。外からの熱を軽減することでエアコンの稼働を最小限に留められるので、電気代の節約に繋がるのです。
UVカットも搭載
UVカット機能もあるので、紫外線もカットできます。 部屋の黄ばみ、色あせを防止します。 紫外線をカットできる真空ガラスなら、部屋の配置の際、紫外線のことを考えなくてよいので好きなデザインを楽しめますし、劣化を気にすることもないので大切なものも常にしまっておく必要がありません。
既存のサッシでの施工ができる点もメリット
真空ガラス、「スペーシア」は通常のガラスと同じサッシで問題ありません。 これまでのペアガラスは性能に関しては申し分ないものの、厚みのおかげで通常と同じサッシでは使用することができませんでした。 しかしスペーシアは厚みが6mmなので、わざわざサッシの交換作業をする必要がなく、そのままのサッシでもOKです。
真空ガラスの「スペーシア」について
真空ガラスと呼ばれる「スペーシア」について幾つかかのタイプがあるのです。 それぞれ微妙に特徴が異なりますので、目的に合わせたスペーシアを選ぶと良いでしょう。
- スペーシア静
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名前からも分かるように、防音性能が高い真空ガラスです。 真空層と特殊中間膜のおかげですが、断熱性能も高くなりました。 静寂さと断熱性が必要な新築マンションあるいは宿泊施設、医療施設などの建築物にお薦めできるのは真空ガラスといえます。やホテル、病院といった建物にぴったりの真空ガラスです。
- スペーシア守
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防音性、遮熱性と共に、名前が示すように防犯性能が高まったスペーシアです。 ガラスを重ねた隙間には1.2mmのポリカーポネード板と中間膜が挟み込んでいるので従来のスペーシア以上の防音、断熱、そして防犯性能を誇ります。
- スペーシアSTⅡ
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断熱性に優れているのがこちらです。ガラスとガラスの間に高断熱特殊金属膜が挟まっていることで、従来のスペーシアよりも高い断熱性に優れています。 さらに、ガラスの外面温度が下落しづらいこともあって、結露抑制においてもハイレベルな効果が出るでしょう。
マイクロスペーサーおよび保護キャップに関して
スペーシアはガラスの間に真空層がある特殊な構造のガラスです。 そのため、マイクロスペーサーと保護キャップがあります。これらは通常のガラスには見られないものなので、ともすると違和感を覚えるかもしれませんが、異常ではなく、スペーシアの構造を保つ上で必要なものです。 2センチ間隔で真空層を保持するための柱が建てられていますが、柱の直径は0.5mmなので、決して目立つことはありません。 保護キャップは直径15mm、高さ4mmですがこちらも必要なものなので、決してミスではありません。



















